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【ジューテック】100周年記念事業・新本社ビル

ジェイリライフを運営するジューテックの新本社ビルが2023年2月、竣工しました。
創業100周年記念事業の一環として建設された新本社ビルは、木の価値・魅力の発信も目的としています。
全国初の技術が使われていると聞いたので、ご紹介していきます。

(2023年9月追記)
2023年9月15日、ジューテックホールディングス株式会社はジオリーブグループ株式会社へと社名変更を行いました。
※株式会社ジューテックは社名変更しておりません。
この記事はジューテックホールディングスの頃に掲載したため、記事内の表記はジューテックのままとさせていただいております。
ジオリーブグループ株式会社ホームページ

純木質耐火集成材:FRウッド

まず今回の建物で注目されているのが「FRウッド」です。
2012年に鹿島建設等4社が共同で開発し、大臣認定を取得した純木質耐火集成材「FRウッド」。

木造で耐火建築物を実現するためには、石膏ボードなどで木を覆うことで耐火性能を確保するのが一般的です。
FRウッドは従来の方法とは異なり、非木材を使用せず耐火木造建築物を実現する新技術

FRウッドの作り方

  1. 木材に細い穴をあけ、燃え止まり層にするために難燃薬剤を注入します。
  2. それを窯に入れ、ギューッと圧縮、乾燥させることで石膏ボードと同じ1時間耐火性能の取れたものを作成。
  3. それを貼り合わせて仕上げに化粧材を貼っています。
  4. すべて木材でできているため、「純木質耐火集成材」と呼ばれます。

この素材自体は、神田神社文化交流館などでも採用されていますが、多層型建築物での採用は初
今回、新本社ビルは木造と鉄骨造を組み合わせたハイブリット構造で建てられました。
国土交通省から先導性の高いプロジェクトであることが認められ、令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)にも採択されています。
 
柱の接合は、鉄骨を用いた高力ボルト接合とし、多層建築物の建て方精度に対応させ、梁受けプレート上部でボルト接合とし木板の後貼りがないディテールとしています。
スラブには木板を先付けしたスチールデッキを採用し、型枠をそのまま内装仕上げとし、天井高を上げ合理化。
木表面には高性能シリコン系強撥水型塗料「S-100」を工場で塗布します。
透湿性能を保持した強撥水機能により、工事中や使用時の汚れ低減や経年による劣化抑制効果があります。
新本社ビル1階に展示されている柱部分のモックアップ。
多層型建築物での使用は初だったため、このモックアップを作りどのように7階まで上げていくのかを実際に検討していきました。
普通の在来の木造住宅のように梁を入れてつなげる仕様になっています。
実際の柱を見てみると、本当に木材なの?と思うくらいきれいですよね。
なぜかというと木の「節」がないから。
こちらは節のないものを選んでいただいたそうです。

同じ木の柱のように見えても、実は中に石膏ボードが使用されている場合が多いそう。
今回はFRウッドを使うことで、柱の内部にも木材を使用しており、通常の1.3倍ほど木材を利用しています。
CO2の固定も含めてたくさん木を使っているのがコンセプトの建物となっています。
これだけ木にこだわった作りにしたのは、ジューテックはもともとベニヤから始まったから。
1923年9月1日に発生した関東大震災の2週間後、ガレキの山の中焼け残った電柱に「ベニヤ」と書いて矢印をしただけの「青空商売」がジューテックの原点です。

みなとモデル・最高認証取得!

今回、港区の「みなとモデル」という認証の最高ランク★★★(スリースター)を取得しています。

みなとモデルとは?

港区内の公共施設・民間建築物等での協定木材または国産合法木材の使用を促し、その使用量に相当する二酸化炭素固定量を区が認証する制度です。
区内で建てられる建築物等に国産木材の使用を促すことで、区内での二酸化炭素固定量を増やすとともに、国内の森林整備の促進による二酸化炭素吸収量の増加を図り、地球温暖化防止に貢献することを目的としています。

このみなとモデル二酸化炭素固定認証制度は、港区は協定木材を使用し二酸化炭素を固定し、協定自治体は二酸化炭素を吸収する森林を整備することで、都市と地方が連携して地球温暖化防止を目指す日本で唯一の取り組みです。
(参照:city.minato.tokyo.jp/chikyuondanka/minatomodel.html

こちらの認証証の裏には実際に使っている木材の量などが記載されています。
★★★認証を取得するためには、床面積1m2につき0.01m3の国産木材使用が基準となっています。

認証基準

★   :床面積1m2につき 0.001m3
★★  :床面積1m2につき 0.005m3
★★★ :床面積1m2につき 0.010m3

ただ、実は今回木材使用量は床面積1m2につき0.042m3。
なんと★★★認証の4倍の国産木材を使用しています!

また、炭素固定量 110t-CO2は、計画地(740m2)の約4倍にあたる面積の杉林が50年間で吸収するCO2量に相当します。
環境への貢献に加え、積極的に国産木材を使用している建物としても注目されています。

色やデザイン

ガラス張りの外観につい目がいってしまいますが、エントランスの壁や床にもこだわりが詰まっています。
今回新本社ビルの目の前は「新橋赤レンガ通り」。
その名の通り、街並みは赤レンガで雰囲気のある通りです。
街並みにあったビルにしようと床も赤っぽいレンガをイメージする色になりました。
また、エントランスの壁は本物の赤レンガを中と外で続けて使用しています。
床も赤レンガとつながるカラーで、街と一体化することをイメージしています。

構造について:木造ゾーン

敷地東側ゾーンを会議室やリフレッシュコーナーを集約したコミュニケーションハブとし、西側に執務室を確保しています。
コミュニケーションハブに透過性の高いガラスを使用することで、行き交う人々へ木架構を魅せ、発信するファサードデザインとしています。

構造について:緩衝ゾーン

今回木造エリアと鉄骨エリアがあるため、間に鉄骨造の緩衝ゾーンを設けています。
耐震フレーム(鉄骨造)、従属フレーム(木造)、緩衝ゾーン(鉄骨造)の3ブロック構成としています。
地震水平力はスラブを介して、鉄骨造が負担します。
耐火安全性については緩衝ゾーンの耐火被覆を強化し、木造への火災熱伝達を低減します。
木造の経年クリープは、緩衝ゾーンにより影響範囲を最小限にしています。
地上8階立ての耐火建築物では、2時間耐火性能が必要となりますが、耐火性能検証を行い地上は全て1時間耐火性能として合理化しています。
 
また、緩衝ゾーンは中階段としました。
エレベーターホールより先に中階段が来るため、階段を使って移動しコミュニケーションが生まれる仕組みになっています。

空調システム

木造エリアは下階の鉄骨エリア天井内に室内機を設置しています。
床下チャンバーによりペリメーターを空調し効率化を図り、木架構を魅せる設えとしています。
梁を魅せるために、空調は天井ではなく床吹き出しとしたそうです。
スプリンクラーは上の階の床に穴をあけて、下に向かって配線をしています。
結果的に20㎝高く見えるので梁の厚みが広く、開放的に見えるようになりました。

一枚板のテーブル

また、1階会議室にすごいものがあると連れていっていただきました。
そこにあったのは、欅の一枚板を使った約4mのテーブル。
青森の取引先様より木を寄贈していただき、加工して作ったものだそうです。
おそらく樹齢は400~500年のもの。
竣工後の搬入の際にもそのままでは大きすぎて会議室に入れることができなかったんだとか。
一度入口のガラスを外して搬入して組み立てたという裏話もありました。

屋上スペース

屋上には会議室と屋外スペースがあります。

屋上のひさしもCLT(直交集成材)を使用して少しでも多く木を使って作っています。
屋外スペースの床は、フクビ化学工業の「ソライエデッキ」。
ソライエデッキは純国産の間伐材を有効利用するため木紛にし、樹脂と合わせて押出成形して作成した再生人工木「プラスッド」を使用しています。
屋内スペースの床材は朝日ウッドテックの「ライブナチュラルプレミアム」を使用。
無垢材を2mmに挽いた「挽き板」を使ったフローリングです。
FRウッドの柱に合うカラーを特注で作っていただいています。
2~7Fの中階段の床も中部フローリングに特注色を依頼。
天井は大建工業の「スクールトーン」を使用しています。

この他にも多くの大切な取引先様、協力業者様のおかげで完成したビルです。
この業界ならではのわがままを叶えていただいた特徴的なビルになっています。
皆様のサポートのおかげでこうして最先端の新本社をお披露目することができることを大変嬉しく思います。

アートパネル

入口から入って正面に見えるこのアートパネル。
何か分かりますか?
実はこのビルに使われている柱(FRウッド)は16本あり、製材が終わったときに最後に長さをそろえるためにカットした端材を アートパネルとして飾っているのです。
そのため、木材が背合わせになって時間が経ってもお互いを修正しあうような形に配置されているのが分かります。
ベニヤ板を互い違いに重ねるとの同じような仕組みですね。
言われてみなければ、端材だなんて気づかないような素敵な木目アートになっていました。
移転に先駆けて内覧会を行った際も、このパネルの前で写真を撮る人が結構いらっしゃったそうですよ。
木をふんだんに使い、国産木材をはじめとする木の魅力・発信地となるであろう新本社ビル。
新本社ビルのように私たちも取り扱う建材の魅力を十分にお伝えできるよう頑張ろうと改めて思いました。
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