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【ニチレイマグネット】磁力って何だろう?

今年で創業53年目となるニチレイマグネット。
今回はショールームを訪問し、創業からこれまでのことやそもそも磁力って?など様々なお話を伺ってきました。

ニチレイマグネットとは

ニチレイマグネットは1969年に大阪で創業した会社です。
その名前の通り、マグネットに特化して製品を作り出し世の中に送り出しています。

創業当時は、実は販売するのがとても大変だったそう。
それは、磁石の持つイメージとの闘いだったからなのです。

当時は世の中には黒くて硬い磁石しかない時代。
そんな中ニチレイマグネットは「柔らかくても磁石」という商品を初めて売り出した会社でした。

今でこそシート状のマグネットは水道屋さんのステッカー等でもよく見ますよね。
でも当時は、柔らかい磁石でハサミでも切れて扱いやすいと説明しても
「磁力ってなくならないの?」
「使っている間に磁力が減っていくのではないか?」などの声も多く
「半永久的に磁石としての性能が維持できること」を信じてもらえないところからのスタートでした。

転機!初心者マーク(若葉マーク)の作成

(写真)

そもそも当時世の中にない・誰も知らないものを売っているため、ただ売ろうとしても買う側も使い方が分かりません。
そのため、ニチレイマグネットでは常に用途と一緒に提案を行ってきました。

創業から3年後の1972年に、転機となったのが「初心者マーク」。
車の運転免許を得てから1年未満の人が運転する際に掲示が義務付けられている標識です。
当初は、ヘッドライトが当たったときにどれくらいの明るさで反射するか、大きさ、色等しか決まっていなかったそう。

確かにシールを1年間同じ場所に貼り続けるとなると跡になってしまいますよね。
シールの場合、家族で車の貸し借りをすると初心者じゃなくてもマークがつけっぱなしになってしまいます。

そこでこれは「都度外したいものではないか」と考えました。
マグネットならつけ外しが簡単にできるとすぐに商品化を行ったそうです。
また、車体につけるものなので、相手(鉄板)も良かったといえます。
早速反射させるためにビーズ(ガラスの小さい球)が入った塗料を塗って仕上げたマグネットを作りました。
用途開発と一緒に提案を行ってきたニチレイマグネットの原点がここにありました。

日本独自のスチール家具とマグネット

日本では文房具がスタートした時に、文房具メーカーがキャビネットを作り始めました。
その時にスチール家具のメーカーがいくつもできました。
私も初めて知ったのですが、オフィスにこんなにスチール家具があるのは実は日本だけなのだそう。
中国もヨーロッパもほとんど木製の家具が使われていて、マグネットを付ける場所がありません。
(※アメリカは鉄の国なのでスチール家具も多いそうです。)
オフィスではスチール家具が使われるという日本独自の文化もマグネットシートが普及している理由だったと言えます。

磁石だけではなく、貼る相手を作ろう。

マグネットは単体ではうまく使えない製品。
何と言っても貼る相手が必要になります。
そのため、ニチレイマグネットでは磁石の相手になる商品も開発してきました。

スチールペーパー

ニチレイマグネットが一番初めに磁石の相手として作ったのが「スチールペーパー」です。
50μ(ミクロン)の鉄のフィルムで作った、総厚0.2㎜のシートです。
ロール状にして47~48年前から作っている商品で、裏側に糊がついており、このスチールペーパーを貼れば
どこでも磁石を付けられるようになります。

磁石だけじゃなくて貼る相手を一緒に作ろう。
それがスチールペーパー開発の理由でした。

ブルテンスティーリー

鉄板はへこむと復元できません。
そして壁紙として使うには取り扱いづらくカットすると断面が危ないので枠が必要になります。
そこでスチールペーパー作成から数年後にブルテンスティーリーが製品化されます。
これは、鉄粉を混ぜてあるゴムのシートで、アイパネルにも同じような素材が使われています。
画鋲もさせて磁石もつくため、掲示板用途としての利用を見込んで作られました。
 

マグピタボード

こうして商品開発を続ける中で、「やっぱり板ものを作りたい」という思いが出てきます。
12年前からマグピタボードの販売を始めました。
これまでマグネットシートをロールで作ってカットしてた会社が板ものを作るということ。
それはそれは流通や梱包等とにかく課題が多く、努力の連続だったそう。
そのかいあって今では個包装で軒先までお届けでき、とても便利に利用できるようになっています。

これまでニチレイマグネットの成り立ちや歴史をご紹介してきましたが、次に改めて磁力とは何なのか説明してもらいました。

等方性と異方性

ご紹介してきた柔らかいタイプの磁石・マグネットシートは、等方性と異方性に分けられます。
等方性とは、どの方向からも等しく磁化される性質を持っていることを指します。
一方、異方性とはある一定方向にのみ磁化される性質を持つことを指します。
磁力の向きが揃っているため、その向きであれば強力な磁力を持っていると言えます。
 

マグネットシートの作り方

では、マグネットシートはどのように作られているのでしょう。
実は、工場でシート状に加工した後、出口で磁力を入れることでN極とS極を作るのだそう。
シート状に伸ばして「ばん!」伸ばして「ばん!」と少しずつ磁力を入れていきます。
これを「着磁(ちゃくじ)」と呼びます。
粒子内部で磁力がバラバラな方向を向いて打ち消しあっている状態から、着磁によって揃えると打ち消しあわずに磁石としての磁力を発揮するようになります。
向きが乱されると元の状態(磁力がないように見える)に戻ってしまい、それを「脱磁(だつじ)」と呼びます。
300℃などの高温でも脱磁するそうですが、そんな状態になることは普段の生活ではないですよね。
そのため、磁石は半永久的に磁力を保つとされています。

磁力の強さって何だろう

1つの硬い磁石(例えば棒状の磁石)は片側がS極、片側がN極の2極になっており、通常は対の状態です。
S極から出た磁力はN極に戻りますが、磁力線はお互いに退け合う性質があるので、それぞれが小さな、または大きなカーブを描いて戻ってきます。
つまり硬い磁石はN極とS極の境目が実はふちにしかない状態になっているそう。
例えば丸い磁石の場合は真ん中からは磁力が出ていません。
(※上図 下中央の上下NS着磁参照。)

対してマグネットシートはライン状のN極とS極が交互に現れるように着磁されています。
(※上図 下左の多様着磁参照。)
例えば町の水道屋さんのステッカーとかだと2mmピッチでN極とS極が交互に入っています。
こうすると磁力は隣に飛び、かつシートの面積すべてが磁石のため細かく磁力が飛んでいるような状態を作り出すことができます。
よくポストに入っている水道屋さんのマグネット。
磁力を見ることができる特殊なシートを使うと縦の黒っぽいラインとしてN極(またはS極)が現れます。
白っぽいラインはS極とN極の境目です。
例えるなら、硬い磁石は筋肉隆々の人が1人で鉄棒つかんでる状態。
一方、マグネットシートは小さい子達がたくさんの手で鉄棒をつかんでいるようなイメージです。
1つ1つは弱くても全部の面積が引っ張られている状態を作ることができます。

磁力は出てる量が一定だとすると弧を描いて磁力が出ているため、相手が薄いと1本しか引っかかりません。
鉄板が分厚くなると引っかかる磁力が増え、つかんでくれる量が増える。つまり強くなります。

マグネットシートは1つ1つの磁力は遠くまで飛んでいきませんが、近いところでしっかりつかんでくれています。

アイパネル・マグピタボード

もっと強くつけたい(吸着力を強めたい)という要望があったときに鉄素材の厚みを増やして吸着力を高めるのは簡単です。
ただ、加工性が悪くなり重さも増えるため、現場での加工が大変になってしまうというデメリットがあります。
丸のこできると火花が散ったり、切るときに曲がってしまったり。
加工がギリギリしやすい範囲で、吸着力も保てるバランスが「中の鉄素材が0.2」という厚み。
とにかく強力な磁石を付けたいという要望があった場合には、どんな用途で使うのかを見極めることが必要です。

今回はショールームにて実際にアイパネルとマグピタボードの磁力を体験してきました。

それぞれを単体で試すとどちらも磁力は強いです。
アイパネル:鉄粉 マグピタボード:鉄板
でできているため、比較してみるとやはりマグピタボードの方が強いように感じました。
マグピタボードはかなり力を入れて引っ張らないとマグネットでつけている小物等が取れませんでした。

マグネット家具の外し方のコツ!
まっすぐ引っ張るのではなく、下から外すようにに斜めに持ち上げていくのがポイント!
まっすぐ外そうとすると力が必要になるのと外れた勢いで後ろに倒れてしまう危険性があるため、斜めに持ち上げましょう。
くっついている部分の下から外すことでまっすぐ引っ張るより少ない力で外すことができます。

いかがでしたか?

ショールームにはこれまで作成してきた様々なキャラクターやブランドのグッズがたくさんありました。

今回ニチレイマグネットの製品のことだけでなく、磁力についても説明していただきました。
付く相手によって強さも変わるのでお互いの相手が何なのかも重要!」というのがよく分かりました。

最近ではマグネット収納ブームで、ご自宅でもマグネット収納を採用されている方は多くいらっしゃるかと思います。
ニチレイマグネットではブームになる40年以上前からこうなったらいいなを目指してやってきました。

マグネットでこれまでの当たり前が変わっていくこと。
そして、初心者マークからも分かるように、新しい当たり前が作られていくこと

マグネットでより使いやすく分かりやすく、人の手間を減らすこともできるのだなと、そんな可能性を感じたショールーム訪問でした。

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